京大経済・論文入試の合格体験記(2012年度京大経済学部合格・論文入試)

 

①教科別勉強法(参考書等の紹介を中心に)

国語の勉強法

入試現代文へのアクセス (河合塾SERIES)
』(河合出版) ...基礎的な問題集。前半部は問題と解法・ポイントが載っている。受験勉強の手始めに。

 

『出口の現代文レベル別問題集1~6』("東進ブックス"ナガセ)

 

...1の超基礎編から6の難関編まで幅広くラインナップされている。僕は4の中級篇から始めたが店頭で各自のレベルに合わせて選べばよいと思う。6はなかなか骨の折れる問題もあった。解説、採点方法等が詳しく記載されているので自習時に役立つ。

 

記述編 現代文のトレーニング[改訂版]
』(Z会出版) ...2次試験の記述の訓練に。正直京大の記述よりも難しいと感じる問題も多く、2次試験で本当に難しい記述の出ない学校を受験する人には不向きかもしれない。ただ問題文や解説・コラムに書いてあることは大変興味深いことばかりで、読み物として楽しめるし力のつく本だと思う。

 

吉野の古典文法スーパー暗記帖 改訂版―わかる!覚える!受かる! (快適受験αブックス)
』 ...古典文法、特に読解のカギとなる助動詞などを覚えるための一冊。個性的な吉野先生の愛のムチを受けつつ、文法の反復練習、暗記のよい手助けとなるだろう。

 

実戦トレーニング古文単語600
』(中央図書) ...古文の単語帳。センターから2次まで幅広く通用する語彙が選ばれている。右ページに5個ほどの単語と意味・用法、左ページに簡単な問題という構成が◎。随所にあるコラムも面白く覚える助けになる。

 

古文上達 読解と演習56
』(Z会出版) ...選択式・記述式をバランスよく収録。前半は解法を身に着つけるための問題と解説、後半は問題(別冊に解答)という構成。基本から私大入試レベルまで幅広くカヴァー。

 

最強の古文 読解と演習50
』(Z会出版) ...上の古文上達の発展版。センターから私大、2次向けの問題。解説も詳しく、古文上達とともに使いやすく良い問題集。なお、2次で漢文が課される人には姉妹編、『漢文道場 入門から実戦まで
』(同)もオススメ。

 

数学の勉強法

僕は数学はセンターのみで必要だったのでセンター過去問等の演習が主であった。
以下の本は補助的に用いていたものである。なお、これらは記述式の問題がメインであ
るので、2次試験で記述が必要な方にも特にオススメする。

チャート式 基礎からの数学1+A 改訂版

チャート式 基礎からの数学2+B 改訂版
』(数研出版) ...言わずと知れた名著。ちなみにこれは俗に"青チャート"と呼ばれるものであり、シリーズ4冊中2番目に難しいものであるが、基本原則・公式や例題から難しい応用問題まで多様なパターンの問題が幅広く掲載されておりこれが一番よいと思う。解説も割と詳しく、一種の辞書的な感じで用いた。

ⅢCが必要な人には『チャート式 基礎からの数学3+C 改訂版
』(同)もある。

 

教科書傍用4STEP数学1+A 改訂版

教科書傍用4STEP数学2+B 新課程
』(数研出版) ...これは一般には学校からの注文でしか買えない(もちろん古本で買う方法はあるが)ので、学校で購入している場合は参考に。

上のチャートの実践編といった感じの本。本の名前の通り各章4つのSTEPに問題が別れ
ており、そのSTEPごとに問題を解いていくのもいいだろう。

チャート式シリーズ入試頻出これだけ70数学1A2B (チャート式・シリーズ)
』(数研出版) ...回答者の立場に立っ
た分かりやすい解説が魅力的。分野順や難易度順ではなく「出る順」(真偽のほどは不明)
という面白い構成。そのため初盤で難しいor苦手な分野に直面することもあるので、思
いきって問題をとばし、解説をしっかり見て学習するという勇気が必要。

 

理科(化学) の勉強法

こちらもセンターのみで必要だったので、センター過去問の演習、そして授業で配布
されるプリント類の復習などが主であった。

化学1一問一答 完全版 (東進ブックス 大学受験 高速マスター)
』("東進ブックス"ナガセ) ...他に生物編などもある。
化学編では基本単語?は勿論、主な計算式なども網羅されており、化学の単語帳の類の中では一番いいと思う。ゴロ合わせなども載っており、赤シート付で暗記に配慮されている。

 

社会(公民)の勉強法

これもセンターのみだが、私立入試の際にも用いた。なお、京大経済学部では2012年現在、
現代社会×倫理・政経といった組み合わせも可能なので、社会科の課されない論文入試で
は公民科だけで済んだ。
現代社会の勉強についてはほとんど倫理・政経と同じだが、発表の仕方など一部オリジナ
ル内容があるのでそこは教科書を読んで確認しておいたよいだろう。
政治・経済一問一答 完全版 (東進ブックス 大学受験 高速マスター)
』("東進ブックス"ナガセ) ...近日倫理版も発売予定とか。また日本史版や世界史版もあり、そちらも大変よい一問一答集だと思う。
政経版では難関私大の問題なども多数収録されており、センター内容をやや超える面もあるが、もちろん基本単語も掲載されており、これ一冊でセンターから私大入試まで対応できる。

一問一答倫理用語問題集
』(山川出版社) ...倫理については東進から一問一答が出版されていなかったので山川のものを用いた。地味なデザインがやや難点だが、単語は基本からマニアックなものまで網羅されている。各単語の☆の格付けで重要度が分かる。

 

英語の勉強法

短期で攻める最頻出問題発音・アクセント300
』(桐原書店)...発音・アクセント問題のセンター・私大過去問の中から間違えやすいパターンのものを抜粋したもの。前半部にルール別の解説、演習がある。CD付き。

英単語ターゲット1900 5訂版 (大学JUKEN新書)
』(旺文社) ...英単語帳は数多くあるが、この単語帳の単語がセンターでも私大・2次でも最も有効ではないかと思う。A~Cの3つのレベルごとにおおよそ似たようなジャンルの単語が1ページに並ぶ。右ページに用例があるのも◎。センターまではA,Bを極め、私大・2次前にCを完成すればよいだろう。

世界一わかりやすい 京大の英語 合格講座 (人気大学過去問シリーズ)
』(中経出版) ...本のタイトルを裏切らない良書だと思う。京大英語とあるが内容はある程度基礎的な文法事項から書いてある。読解編・作文編それぞれ京大英語を解くにあたってポイントとなる文法の確認→過去問での用法の確認、の構成。別冊で重要事項のまとめもあり、過去問を解く傍らに置いておきたい。なお、作文編はやや判断基準が厳しいと感じた面もある。
京大志願者に限らず、その他国公立大志願者にも絶対ためになる一冊。

 

論文の勉強法(京大経済学部論文対策)

論文に関しては高校にそんな教科があるわけでもなく、当然教科書もない。
そんな中で唯一信頼できるのは過去問である。まずはひたすら過去問を読み、解くことで
ある。

 

最初は時間や時数はそこまで気にしなくともよい。過去問にあたっていき、そして
その度添削を受けることで段々と掴んでいくしか道はないと思う。
その上で過去問の他にも幾つか参考書籍を以下にあげておく。

新小論文ノート
各年版』(代々木ライブラリー) ...

代々木ゼミナールが編集した、前年度の全国の国公立・私立大学の主な小論文の問題と解答例・解説が掲載された本。なお対象が"小論文"のため残念ながら京都大学の問題は掲載されていない。しかし中には京大に負けず劣らず難しい問題も掲載されている。全問を解くのは大変だろうからとりあえず入試直前にすべて読み通すのがいいと思う。大手塾講師が作成した答案を読むだけでも得られるものは大きいと思う。さらに京大の論文入試と似たような問題意識を持っている問題もいくつかある。そのうえで京大と似たような形式(特に論文Ⅱに似ている形式)の学校を数個選び解いてみるのがいいだろう。

 

日本の論点 各年版』(文藝春秋) ...いま日本で論争となっているおおよその事柄について一級の評論家の論説及び編集部による解説・まとめが掲載されている。特に重要な事項については賛成、反対のそれぞれの論者の投稿があり大変有用。これを一通り頭に入れておけばたいていのトピックに対処できるだろう。但し、問題文にはむしろ新しいトピックスは出ないことが多い。

 

自由とは何か (講談社現代新書)
』(講談社現代新書)

TPP亡国論 (集英社新書)
』(集英社新書) ...これらは一例。上の本の著者佐伯啓思、下の本の著者中野
剛志はそれぞれ京大大学院の教授、准教授。要は京大の教授の書いた本を一度は手に取ってみるべきだということだ。論文入試の問題文、着眼点にはまさに京大経済学部の着眼点が凝縮されている。京大教授の著書の多くは過去問と同様、それを理解する助けになる。

 

この他・・・(一部割愛)

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詳しくは論文対策講座がお勧めです⇒論文対策講座

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全体的な京大受験対策(経済学部論文入試)

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全体的な京大受験対策⇒HP上では掲載を割愛させて頂きます。

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是非一度お立ち寄りください。

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京大経済・論文入試の合格体験記 その2
京大経済学部・論文入試合格体験記 その2

2012年度京都大学経済学部合格 長田高校出身
京都大学志望者へのアドバイス
「京大経済学学部・論文入試合格体験記 その3で詳しく書きますが、とりあえず一番お伝えしたいことだけ...
まず...オープンキャンパスへは行きましたか?
あなたは京大で何を学びたいのですか?
どの先生のもとで研究をしたいのですか?
これはどこの大学にも共通する話だと思う。
実際ただ京大という名前だけで京大を受け、通っている人も残念ながら沢山いる。
しかしそれだけではモチベーションがもたないし、何よりも大学に行ってから後悔したり
空虚な大学生活を送ったりしてしまう破目になる。
ちゃんと目的をもって大学を選んでほしい。
 いわゆるすべり止め校についても同じである。いざとなればあなたはそこに通うかもしれ
ないのだ。
そうして受ける学校を決めたらその学校のこと、受験方法をよく研究し、
そして一直線に進んでほしい。
普段の学校での順位や模試の成績なんか全くアテにならない。
 ひたすら志望校を目指して勉強を積み重ねれば、必ず夢の大学生活は実現する筈だ。
⇒「京大経済学学部・論文入試合格体験記 その3」

 

京都大学経済学部 論文入試 合格体験記 その3

2012年度合格 長田高校出身
 まずは高3までの話から。
僕が入った高校は近辺の公立校では一番の進学校。それなりに努力して入ったつもりだ。
その反動からか1年生の1学期はまるで勉強をせず、いきなり数学でつまずいていた。
その箇所については夏休みから通いだした塾のおかげで解決できたが以後数学では度々つ
まずくようになった。今思えばそれが私が文系に進み、そして京大経済の論文入試を選ぶ
遠因となったのだろう。
  僕は吹奏楽部に所属していた。さほど強い学校ではなかったが毎日の昼練と放課後練、
土曜日の練習、そして練習後の雑談に興じていた。そんな僕は自慢できることではないが
大抵の授業では寝ていた気がする。そしてテスト1週間前に急いで課題を済まし、間に合
わせの勉強でテストに臨んでいた。テストの成績は京大レベルとは程遠く、読書好きが幸
いして好成績だった現代文と好きだった公民以外はせいぜい真ん中くらいだった。しかし
周りのみんなも対策勉強をしない模試の時だけは学内で割と上位の成績を取れたこともあ
り、友人や家族からは「勉強意欲は足りないが実力はある」とお褒めの言葉を頂いていた。
 大学に入ってから進む学部のアテもなくとりあえず文系に進んだ僕が京都大学に行きたいと初めて思ったのは高2の夏であった。模試などで志望校を書くことが多くなってき、そろそろ学部くらいは決めておこうと思いさまざまな学問をインターネットで検索しているうちに、ある日"交通経済学"という学問を見つけた。生まれつきの乗り物好きと興味のあった政治・経済分野の融合...「これしかない」と思った。そして交通経済学で有名な教授が京大(と同志社)にいたのである。国公立志望だった私は、よし京大に行くぞと思った。
 家族にこのことを打ち明けると、笑いながらもとりあえずオープンキャンパスに行くよう勧められた。そのオープンキャンパスで行きたいという気持ちが更に強くなった。理由は言葉に表しにくいが、文字通りの「校風」が自分にぴったり合っているように感じたからである。他にも一応阪大や神大、大阪市大などのそれにも参加したが、それほどの感触は得られなかった。また、私大の方も第一志望の同志社をはじめ関学、関大を見てまわったが、やはり同志社が一番合っていると感じた(ちなみに京大と同志社の今出川キャンパスは雰囲気が似ているところがあると思う)。
 こうして2年の後半からは志望校欄には京都大学経済学部と書くようになったが、勉強の方は以前のままであった。模試の判定はもちろんD。しかしまだまだ先の話だとまるで気にせず、部活や友達との遊びに興じていた。
 3年生になってからも、吹奏楽部の引退が7月末のコンクールだということもありしばらくは似たような状況が続いた。引退が早かった運動部の部員が勉強を始め、自分よりも成績が悪いと思っていた人たちがどんどんと成績を上げていった。塾では一応東大・京大・阪大クラスの授業を受けたが特に数学では完全に落ちこぼれ、先生の勧めで途中から神大・国公立クラスの授業を受けていた。そんな中夏休み前には三者面談があり、先生にも京大を受けたいと話した。もちろん先生も厳しい成績であることは理解していたとは思うが、止めとけとは言わず「きっとなんとかなるから今からがんばろう。」と後押ししてくれた。まわりの生徒もだいたいそんな感じで、例年D判定やC判定の学校を受験することは半ば当たり前だった。みんな厳しくてもあきらめず自分の行きたい学校を目指そうとしていた。吹奏楽部の男子6人のうち自分も含めて4人が京大(ただしみんな学部は別)を志望しており、互いに競い合うこともできた。そんな周囲の環境も僕を支えてくれたといえるだろう。
 7月末で部活を無事引退し、8月からはいよいよ受験勉強開始という段になった。しかし気分は以前のままで、ほとんど勉強が手につかなかった。一応塾の自習室に通っていたが、冷房の効いた部屋の中でひたすら居眠りをしていた気がする。しかも自分が嫌な科目には全くと言っていいほど手を付けず、数学と古文の苦手は全く改善されなかった。夏休みの成果はほとんど化学と、後々使わなくなる運命の日本史だけであった。
 9月に入ってひょんなことから家族にもそんな状況が知れ渡り、見るに見かねた父が僕の勉強を見てくれるようになった。父の手も借りて僕の勉強スタイルは抜本的に改革された。
 まず1つ目は一週間ごとの勉強スケジュール表の作成。これによりどの教科もバランスよく勉強し、さらに苦手克服にたっぷりと時間を注げるようになった。また10分単位で刻まれた時間の目安は勉強習慣をつけることにも役立った。
 2つ目はワークの使い方の変更。それまで僕は京大という名前にとらわれすぎて、つい難しめの難関大向けワークや過去問ばかりに手を付けて、分からないまま終わっていることが多かった。父は私に過去問などはもう少し後にし、その当時でも難なく解けるようなワークから始め、少しずつレベルをあげていくよう言った。また解いて間違えた問題に印をつけ、そのワークを一巡したらもう一度最初から印に注意して解き直していくようにも言った。これらは僕にははじめ無駄なことのようにも思えたが、これによって問題の"成功パターン"のようなものを体得することができ、自信と実力に確実につながっていったと思う。
 論文入試を受験すると決めたのもこの頃だった。それまではその存在すらも知らなかったが、父が「2次を苦手な数学無しで受験できる」といって教えてくれたのだった。文章に少し自信のあった僕はその入試に飛びついた。また論文入試では2次の社会科も不要となり、センターを実質的に出題範囲が同じ現代社会と倫理・政経で受けることで数学の2次対策、そして日本史の勉強をカットすることが出来た。このような事例は稀だと思うが、これから受験勉強にとりかかる人はぜひもう一度志望校の受験方法を研究し、私学とも照らし合わせて絞れる教科がないかを検討してみることをお勧めする。
 国語科の先生に論文入試で受けようと思うことを相談すると、「論文対策は冬になってからでも可能なので、例年センターの成績で足切りのある論文入試ではまずセンターでの高得点を目指すように。」とのアドバイスを受けた。そしてセンター試験重視で上記の勉強法を実践していくと、自分でも実感できるほど勉強が分かっていくようになった。
 論文入試の対策を始めたのは10月末くらいにあった河合塾の京大即応オープン模試からであった。河合の模試には論文入試向けのものも用意されており、それを受験したのが自分の書く初めての論文であった。前日に2011年の論文の問題に目を通しおおよその分量を"予習"していたにも関わらず、本番では大幅に時間が不足し、字も乱雑で解答欄である原稿用紙を2ページほど余した状態で無理矢理結論を書きこんだ形になってしまった。前の席で受験していた人たちの中には30分以上前に筆をおく人もいて、かなり悔しい思いをした(しかし返却されてみると論文の成績も意外とよい方だったのだが)。
 ちなみに言っておくともし万が一時間が足りなかったら、どんなに字数が足りなかったり論が中途半端だったりしても無理矢理結論を付けて終わるのが最もよいだろう文章の途中で時間切れになって「いかにも書きかけの文章です」と分かってしまう答案を作成するのは最悪だ
 その次の週から論文の過去問を解き、学校で先生の添削を受けるようになった。
ここで論文入試の出題についてざっと解説すると、論文の問題は論文Ⅰ・論文Ⅱの2題が課される。Ⅰは1日目で、ある社会系のテーマについて違う立場から書かれた2つの長文(少なくとも片方は外国人著者の文章であることがほとんど)を読み3つほどの問題に回答するもの。字数は総計2500~3000字で3時間。Ⅱは2日目で、ある社会系の割と身近なテーマに関する7~10個ほどのグラフを3つの問題に沿って読み進めていき、回答するもの。時数は総計2000字ほどで2時間。中でも論文Ⅰの方は内容もなじみのないものであることが多く、字数的にもかなり厳しいと思う。
 練習するにあたって僕は模試のこともあり当初は時間を気にしていたが、先生から「まずはしっかりと実のある文章を書く訓練をすること。時間は後から短縮できる。」とアドバイスがあったので、センターまでの時期は本番の制限時間の2~3倍の時間をかけてじっくりと答案を完成させることにした。
 また当初は国語科の先生にのみ提出していたが、論題は社会科に関することが多く、公民科の先生にもコピーを提出して並行して添削を受けるようになった。添削には先生の個性がよく反映されるもので、国語科の先生は一字一句にはあまり拘らずに論題全体についてのアドバイスをされることが多かったのに対し、公民科の先生は論じた内容にはあまり触れずに原稿用紙の使い方や接続詞の用法、論の構成に関してのアドバイスをされることが多かった。同じ問題の添削を2人の先生から受けたことはよかったと思う。
英作の添削も学校の英語の先生と塾の英語の先生の2人同時に受けていたが、それぞれの先生に違う箇所を指摘していただくことができより力がついたと思う。
添削を受ける一方で国語科の先生は僕に様々な新書本を貸して下さり、読むよう勧められた。もともと読書好きの私は次々と先生から本を借りては通学途中などに読んでいた。これは論文入試で求められる素早く課題文を読む力をつけることにもつながったし、何よりも答案の「テンプレートづくり」に役立ったと思う。
この「テンプレートづくり」は・・・・・・

テンプレートづくりについて

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是非一度お立ち寄りください。

~~~ 。先生が貸してくださった本は京大の教授の有名な著作などが中心で、京大の論文入試に合った「テンプレートづくり」が出来たと思う。ちなみにこのとき読んだ本が気に入って、いま一般教養の授業でその本の著者の講義を受講している。また、この作業を行う上で大変参考になった国語科の先生の言葉を紹介しておこう。
 
 
「京大の論文入試で君たちに問いかけられているのは『経済学者としての良心』。東大や今の政治家・官僚の主な方針は新自由主義礼賛であるが、この方針だと取り残される弱者が多く発生してしまう。京大経済学部はそのことに着目し、『本当に彼らを見捨ててよいのか。』と問いかけている...」。この言葉を念頭に置いて京大論文入試の問題を読むと、そうでない場合に比べて一気に道筋が開けてくるように感じるだろう
 こうして論文の対策をするのに並行してセンター対策も過去問演習に移っていった。過去問を時間をはかって回答し採点し、全く分からなかった箇所があれば復習...という作業をすべての教科延々と行った。なおセンター試験に関しては合格者の平均得点率はおおよそ80%前後と見積もられているので自分の目標も80%得点とした。これは最初から達成できる教科もあれば最初は7割あるかないかという教科もあったが、段々と演習や補強を行っていくうちに最後にはすべての教科で目標を達成することが出来た。
こうして迎えたセンター当日。僕は試験に際しては余り緊張しない(裏返すと危機感がないということで、そのために在学中は苦労したが...)タイプなので、大失敗を犯すこともなく、いつも通りないしはそれ以上の結果を残すことが出来たと思う。自己採点では倫理・政経が75点で唯一冷や汗をかいたが、他の教科で90%台をいくつか取れていたこともあり、総合では798/900(約89%)と大成功だったと思う。自分の学校が提出した3つの大手塾のセンターリサーチの結果では、1つがA、残り2つがB であった。
 センター後は国語や英語も過去問の演習を中心に切り替えた。英文読解や現代文などは苦戦することが多く、これも論文と同様「まずはしっかりと実のある文章を書く訓練...」の方針で回答していった。並行してすべり止めの同志社の対策も行った。同志社は国語に関してはセンターと大差はないので、主な対策は過去問演習を通じた英語の速読と政経の知識の補完であった。論文の方は少しずつ時間が短くても済むようになり、最終的には時間内に仕上げることはできるようになった。
 これまでは自分の学校から論文入試を受けるのは一人だけだったが、自分のクラスの東大志望の友人S君がセンター試験の結果が芳しくなく、志望を変更して京大の論文入試を受けることになった。これを知った時にはさすがに焦ったが、むしろ良い刺激になったと思う。
 試験前日から一家総出で京都のホテルに泊まりこんだ。しかし試験前日だからと言って緊張することもなく、むしろ夕食にトルコ料理?を食べに行くなど楽しむことが出来たとも思う。当日、論文入試は全員同じ教室だったのでそのS君とも顔を合わせた。受けるまでは時には受験を恨みさえもしたS君だったがいざ試験会場で会うと、知っている人が一人いるだけでとても気持ちが楽になった。昼休みには彼と、同じクラスから文学部を受験した女子3人と集まって昼食を食べながらしゃべっていた。やはり受験会場で独りぼっちではないと感じることが出来たのはとても大きかったと思う。同志社の際も仲のいい友人が受けていたので休み時間に会いに行った。自分と同じ大学を受けに行く知り合いがいない場合は仕方がないが、1人でもいる場合は自分の教室に閉じこもって勉強したりせず会いに行った方が精神的にとてもプラスになると思う。
 試験では前年発生したカンニング事件の影響からか特に厳しく警備?がなされていた。少しでも着衣の表にアルファベットが書かれていたりしたら試験監督が持っているテープで該当部分を隠されたりした。目薬なども机の上に出してよかったが、ラベル類を全て剥がすか見えなくしたうえで、試験監督のチェックを受ける必要があった。このように緊張した空気の会場だったが、試験が始まる前にある試験監督が「先ほど教室の前の方で50円玉の落し物が見つかりましたが心当たりのある方はいませんか。」といった際に、違う真面目そうな試験監督の方がすかさず手を挙げるといったジョークで一気に場が和んだ。こういうのも京大独特のものだと思うし、個人的には好きなところでもある。
 そんなこんなで試験は無事終了。国語はいつもよりもよく書けたと思った。逆に英語の読解はいつになく難しく、記号問題の出題など傾向も少し変わっていたが、これはみんな口にしていたことだったし、英作文の出来が良かったので気にしないことにした。論文はⅠの方は内容はやや難しかったが例年の傾向からある程度予想のつく内容だったので読み進めるのは苦ではなかった。それでも書き終えたのは終了間際であった。自分の席の周りの人はみんなもっと早く終えていて少し焦った。論文Ⅱの方はまだこの形式になってから年数が浅く、傾向がなかなか定まらない様だがこちらも何とか時間内におさまった。全体的にはまあまあといった手応えだったと思う。
 試験後は試験のことは忘れて、ずっと行こうと思っていた旅行などに行って楽しい日々を過ごした。
 そして合格発表の日、張り出された番号の中に自分の番号があった時には嬉しかったが信じられず、何回も見直しに行った(笑)それでも番号はあったので学校や塾の先生や家族に喜びの電話を入れた。唯一残念だったのは一緒に論文入試を受けたS君の番号が無かったこと、そして吹奏楽部の男子で他に京大を受けに行った人は全員駄目だったと聞いたことだった。他にも自分の周りでたくさんの人が残念な結果に終わったと知った時に、改めて受験の厳しさ、そして自分がいかに幸運だったかを感じることになった。また、自分より早く論文の答案を作成できていた自分の隣や前の席の人の番号も無かったのには少し驚いた。大切なのはいかに早く終わるかではなくいかに良い中身の文章を作れるか、ということなのだろう。国語科の先生の指導の正しさが改めてよく分かった。
 このように私の合格は学校や塾の先生、高い目標を目指しあった友人、そして何より半年間勉強をサポートしてくれた父無では成り立たなかったものだと思う。改めて彼らに感謝しつつ、恩に報いることのできるよう大学生活を送りたいと思う。
これを読んでいる受験生の皆さんも、周囲の力の有難さを感じ、かつ自分の受験校をよく研究・分析したうえで受援に臨んでほしいと思う。
京大紅萌会にはこの合格体験記を書いてくれた先生をはじめ、京大経済学部に論文入試で合格した先生が多数在籍しています。
実際に論文入試を突破した先生による個別指導も可能です。
遠方にお住まいの方で京大紅萌会まで通えないという方は「通信添削」も可能ですのでお問合せください。⇒京大経済学部論文対策

 

 

 

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